2007 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロマシン用薄膜材料の機械的特性と周囲環境の影響に関する研究
Project/Area Number |
07J10604
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中尾 茂樹 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 単結晶シリコン薄膜 / 引張試験 / 高温 / 破壊靱性値 / 破壊挙動 / 脆性-延性遷移 / 転位 |
Research Abstract |
マイクロマシン用薄膜材料として主要な材料である単結晶シリコンの破壊特性に対して詳細な解析を行った.厚さ4μmの単結晶シリコン薄膜の引張試験片をオンチップ引張試験デバイス上に作製し,周囲温度を常温から500℃まで変化させながら破壊靱性試験を行うことにより,単結晶シリコンの破壊挙動の変化を破壊靱性値の変化から評価した.さらに,破壊後の試験片に対して,FE-SEMやHVEM(超高圧電子顕御鏡)を用いて詳細な解析を行い,破壊モードの変化と破壊形状あるいは破壊時に薄膜内部に発生した転位との相関性について評価を行った.また,破壊挙動と膜厚との関係を明らかにするため,膜厚0.17-4.7μmの範囲で破壊靱性試験を行い,それぞれの試験片に対して破壊挙動を詳細に解析した.これらの評価から,単結晶シリコン薄膜の破壊特性に対する膜厚と温度の効果について,以下に示すような知見が得られた. ・厚さ4μmの単結晶シリコン薄膜は,70℃において破壊挙動の遷移が発生した.従来のバルク材における脆性-延性遷移温度は600℃以上であり,薄膜材料においては寸法効果によりこれが減少するものと考えられる.この破壊挙動の変化により,薄膜の破断面は異なる様相を示した他,破断面付近に発生した転位の数,長さは80℃以上で破壊した試験片において拡張していることを確認した. 薄膜の厚さが4μm以下に減少するに従って破壊靱性値が増加する傾向を確認した.常温において4μm厚さの試験片は1.3MPa程度であったのに対し,1μm以下になると2-3MPa程度の高い値を示した.さらに,これまで単結晶シリコンに対する常温の引張破壊では確認されることのなかった転位が,膜厚が下がるにつれて破断面付近に多く発生していることを確認した.
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Research Products
(6 results)