2007 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質間相互作用における相互作用面形成メカニズムの解明と複合体予測
Project/Area Number |
07J10618
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
西 羽美 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | タンパク質問相互作用 / タンパク質間相互作用面 / タンパク質複合体 / 構造バイオインフォマティクス |
Research Abstract |
本研究の第一の目的は「タンパク質表面のアミノ酸残基の置換に着目することで、タンパク質表面での相互作用面の形成過程を探る」ことにある。これを実現すべく、本年度はまず解析対象となるデータセットの吟味と再構築を行った。従来のデータセットには、残基置換以外の要素によって相互作用面が形成されたと考えられる例が含まれており、真にアミノ酸置換を観察するには十分ではなかった。今回の再構築を通じて、相互作用面形成につながる変化を1)主に残基置換によるもの、2)主に短い(10残基以下の)の挿入によるもの、3)(二次構造等の)大きな挿入やタンパク質全体の構造変化によるものの3つに分類すると共に、1)にあたる26ファミリーを今後の解析対象とした。 次に、残基置換の評価手法として新しい得点体系を導入した。これまで着目してきたアミノ酸組成・置換頻度に加え、置換の対象となる残基についての構造的情報を加味する指標として、残基の突出具合を表す値を新たに設けた。これはアミノ酸残基の溶媒露出表面積の差で計算される値であり、この指標を用いることで残基置換を配列的側面と構造的側面の両方から議論することが可能になった。 また、評価手法に新しい指標が加わったことで、評価対象となる残基置換についても詳細な分類を行った。これまで残基の置換はどの部位も全て均一な扱いであったものを、各残基が置換前・置換後のそれぞれで置かれる環境を元に、4種に分類した。 以上を踏まえ解析を行ったところ、相互作用面の中でも寄与の大きい部位の形成では2種類の置換、すなわち従来考えられていた「置換前から表面に露出していた残基が、より好ましい残基へと置換される」ケースの他、「タンパク質内部に埋もれていた好ましい残基が表面へと突き出し相互作用面に加わる」ケースがあることが新たに明らかになった。
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