2007 Fiscal Year Annual Research Report
脳神経系で内分泌撹乱作用を示す環境ホルモンと核内受容体の同定・影響評価
Project/Area Number |
07J10653
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡田 浩幸 Kyushu University, 理学研究院, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 核内受容体 / エストロゲン関連受容体γ型 / ビスフェノールA / 内分泌かく乱作用 / センシング抗体法 |
Research Abstract |
本研究者らにより、プラスチック原料であるビスフェノールA(BPA)が、ヒト核内受容体の1つであるエストロゲン関連受容体γ型(ERRγ)に強く結合することが発見された。これにより、BPAがERRγを介して内分泌かく乱作用を示すことが考えられ、脳神経系に対する悪影響が懸念される。本研究では、こうした環境化学物質の影響を48種類のヒト核内受容体のすべてについて検討し、特に、脳神経系での撹乱作用について解析することを目的とする。 本年度は、まず、BPAとERRγの結合特性を調べるために、ERRγとトリチウム標識したBPAによる飽和結合試験を行った。その結果、BPAとERRγの結合定数は5.5nMであり、天然のホルモンとその受容体の結合親和性に匹敵することが判明した。さらに、BPA類似化合物を用いて構造活性相関解析を行った結果、ERRγへの結合は、BPAを構成する2つのフェノール性OH基のうち、一方のみが主要な結合要因であることが判明した。そこで、フェノール化合物について精査したところ、内分泌かく乱物質として疑われるアルキルフェノール類が、ERRγに結合することが明らかとなった。 また、化学物質の「結合性」と「活性」の両方を同時に測定できる「センシング抗体法」を用いて、48種類のヒト核内受容体に対して化学物質の評価を行うために、ファージディスプレイ法によるセンシング抗体の作製を行った。本年度は、抗体作製系の確立に成功し、新たに4種の核内受容体についてセンシング抗体の作製に成功した。このセンシング抗体法は、独自に開発した評価法であり、48種の核内受容体を対象に膨大なアッセイを可能にする高効率的で独創性の高い手法である。これを多数の受容体において確立した功績は非常に大きい。
|
Research Products
(7 results)