2009 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物の分子進化における分子シャペロンSHEPHERDの機能解析
Project/Area Number |
07J10675
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
丹羽 智子 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | シロイヌナズナ / 分子進化 / 分子シャペロン / Hsp90 |
Research Abstract |
シロイヌナズナのCLAVATA2(CLV2)には系統間でアミノ酸置換が多く蓄積しており、その中でもWs系統由来のWs型CLV2はその機能発現にHsp90型の分子シャペロンSHEPHERD(SHD)を必要としていること、また、そのSHD依存性はWs型CLV2に生じたたった1個のアミノ酸置換によって決められていること、については前年度までに明らかになっている。これは、アミノ酸置換により機能が低下して本来なら淘汰されてしまうはずのWs型CLV2も、SHDの作用により機能を維持し存在を許容されていることを示しており、このHsp90であるSHDとWs型CLV2の関係こそ「進化の過程において変異が生じたタンパク質でも、分子シャペロンHsp90がその変異を隠蔽することによって正常に機能発現できる」というRutherfordとLindquistが約10年前に提唱した仮説の初めての実例ではないかと考えている。しかし、これを証明するためには、実際にWs型CLV2がSHDの直接の標的タンパク質であることを示す必要がある。 そこで今年度は、大腸菌由来のリコンビナントタンパク質を用いて解析を行ったところ、Ws型CLV2とSHDの結合が確認でき、Ws型CLV2がSHDの標的タンパク質であることが示された。また、今回の実験では、SHD依存的に機能するWs型CLV2だけでなく、SHD非依存的に機能できるColumbia(Col)系統由来のCol型CLV2もSHDの標的タンパク質であることが示された。このことは、SHDは、CLV2の変異の有無に関係なく、もともとCLV2全般を標的として機能している分子シャペロンであることを示唆している。
|
Research Products
(2 results)