2008 Fiscal Year Annual Research Report
中性子ノックアウト反応を用いた媒質効果ならびにディラック相対論効果の研究
Project/Area Number |
07J10676
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 由希子 Kyushu University, 理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 原子核実験 / 準弾性散乱 / 媒質効果 |
Research Abstract |
<目的> 原子核媒質内での、中間子などハドロンの性質変化は現在の原子核物理学の中で最も興味深いテーマである。中間子の質量変化があれば、それを媒介粒子とする陽子-中性子相互作用にも何らかの変化があると考える。真空中で陽子-中性子散乱である弾性散乱と原子核内での陽子-中性子散乱である準弾性散乱(p,pn)反応の偏極分解能Ay(入射粒子のスピンに基づく散乱の左右非対称性)の比較により、この種の効果を探っている。 <研究成果> ・(p,pn)反応テスト実験の実行および微分散乱断面積の測定 (p,pn)反応でのAy測定は、世界でもあまり前例が無く、実験を行う大阪大学核物理研究センター(RCNP)では初めての試みである。そこで、この反応が行えることを確認する為に2H、6Li、12Cを標的としてテスト実験を行い、測定環境を整えた。日本でこの反応のAyを測定できる環境を整えたことは、今後の核力研究において重要である。 ・(p,pn)反応のAy測定 RCNPにおいて、392MeVの陽子ビームを用いて(p,pn)反応のAyを測定した。標的は2H、6Li、12Cである。標的にごとに「反応の際に見ることのできる原子核密度」が異なることから、Ayの原子核密度依存性が抽出できた。これまでに我々のグループが(p,2p)反応を用いて取得した、陽子-陽子相互作用の核密度依存性と、今回取得した、陽子-中性子相互作用の核密度依存性により、陽子-陽子、陽子-中性子相互作用に関して、両者を比較可能な意義深いデータを得ることができた。このデータを原子核の媒質効果を取り入れたいくつかのモデルと比較することでそれらのモデルの妥当性が検証できる。
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Research Products
(2 results)