2009 Fiscal Year Annual Research Report
中性子ノックアウト反応を用いた媒質効果ならびにディラック相対論効果の研究
Project/Area Number |
07J10676
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 由希子 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 媒質効果 / 準弾性散乱 / 偏極分解能 / 断面積 |
Research Abstract |
本研究の目的は、原子核内に束縛されている中性子をノックアウトし、核子-核子間(核子とは陽子・中性子の総称)の相互作用への、原子核媒質効果の影響を探ることである。 今年度は、上記の目的の為の最終的な実験を大阪大学核物理研究センター(RCNP)にて行った。具体的には、392MeV(光の速度の約7割)に加速した陽子ビームを用い、^2H・^6Li・^<12>Cの3種類の原子核標的から中性子を一つノックアウトして、それと散乱した入射陽子を観測した。そして研究実施計画通り、実験結果を解析し、核媒質効果に関する新たな知見を得ることができた。具体的には、陽子-中性子相互作用のスピン部分への、媒質効果の荷電中間子交換・非荷電中間子交換依存性を導出することができた。なお、スピンとは、陽子や中性子などの内部自由度の一つであり、陽子や中性子の自転に対応するものである。また、陽子-陽子相互作用と陽子-中性子相互作用の大きさの比が媒質効果により変化しているという可能性を見出すことができた。 これらの結果は、これまで陽子-陽子相互作用のみしか主には研究されてこなかった、この種の実験的研究に対する、新たな側面からの情報を与えるものである。また、特に、相互作用の大きさの比が変わるという結果は、様々な分野に影響を及ぼす重要な情報であり、非常に意義のあるデータを取得することができた。また実験結果およびそれに関する議論は研究代表者の学位論文として、まとめられた。
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Research Products
(2 results)