2007 Fiscal Year Annual Research Report
台湾鉄器時代における葬送風習-骨考古学を用いた社会構造と文化行為の研究
Project/Area Number |
07J10698
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
邱 鴻霖 Kyushu University, 比較社会文化研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 親族関係 / 首狩り / 歯冠計測値を用いた血縁関係法 / 抜歯風習 / 葬送風習 / 社会構造 |
Research Abstract |
平成十九年度の研究計画にそって、予定通りに台湾の台湾大学人類学系とフィリピン共和国のNational museum of the Philippines, Anthropology Divisionおよび中国香港のAntiquities & monuments officeなどの研究機関で、それぞれ出土古人骨の歯冠計測・首狩り人骨および抜歯人骨の資料収集を行った。主な成果は以下の二つである。一つはフィリピンの首狩りに関する民族資料と人骨によって、先史時代台湾の穿孔下顎骨における諸可能性の論証資料として有用であり、儀礼的な首狩り行為と強く繋がりがあることが明らかになったこと。 もう一つは、台湾鉄器時代石橋遺跡の人骨資料から、葬送風習や墓地の親族関係を少しずつ明らかにできたことである。墓地の空間分析と歯冠計測値を用いた血縁関係法(田中1995)によって、石橋遺跡の先史社会構造は婚後から一方(夫方)に傾いた双系居住を行った社会の可能性が高く、少なくとも単純な夫方や妻方居住モデルとは考えにくい。しかし、今回の分析結果は、いまだ墓地全体を反映したものではなく、あくまでも予備的なものであるが、台湾でこのような形質人類学と考古学方法を用いた研究は、先史時代の社会構造に関する研究の初めての試みであり、非常に重要な研究成果が得られた。
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Research Products
(3 results)