Research Abstract |
本研究の目的は,円筒鏡を用いた全周形状計測手法における問題点の改善,および計測対象物や計測可能範囲のさらなる改良により,これまでに提案した全周形状計測手法を,エンドユーザにも用いられるような簡便な構成かつ計測プロセスをもつシステムとして実用化することである.本システムにより得られる形状モデルは,三次元生物図鑑をはじめとするWeb上での教育用コンテンツや,エンドユーザがインターネットオークションに出品する際のサンプルとしての応用が期待される.しかしながら現在の試作システムでは,カメラの光軸と円筒鏡の中心軸の不一致により計測精度が低下する.誤計測を減少させ,計測精度を向上させるために,定量的な尺度をもとに軸のずれあるいは撮影画像が補正されることが望ましい.そこで,補正に有効なキャリブレーションパターンの提案および精度の検証を試みる.本年度の研究成果を以下に示す.まず,試作システムの改良を行った.既存の試作システムはモノクロカメラが用いられており,色情報を用いた形状計測が不可能であった.そこで高解像度カラーカメラを導入し,形状計測時に色情報を用いることで,計測精度の向上,および計測される形状のカラー化を実現した.次に,カメラの光軸と円筒鏡の中心軸を一致させるためのキャリブレーション手法の検討を行った.用いるキャリブレーションパターンは,カメラの光軸と円筒鏡の中心を通る軸のずれ量と,観測されるパターンの歪みの相関が明確に観測できることが望ましい.そこで,複数のキャリブレーションパターンを試作し,カメラで観測した上で,パターンの比較検討を行った.上記の研究課題について,フィンランド国オウル大学にて2007年5月14日より11月9日まで研究を行った.また,課題の成果を国際会議1件(the Seventh Finnish-Japanese Joint Symposium on Optics in Engineering, August 2007, Tampere, Finland)で発表し,博士論文("円筒鏡を用いた物体の全周形状計測",NAIST-IS-DD0561201)にまとめた.
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