2007 Fiscal Year Annual Research Report
光散乱的手法を用いた血球細胞内ヘモグロビン量と溶血率の計測に関する研究
Project/Area Number |
07J10735
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
迫田 大輔 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | MCV / MCHC / 連続流血液ポンプ / 時間分解光計測 / Mie散乱 |
Research Abstract |
血液ポンプによる溶血特性は、一般に血漿遊離ヘモグロビン濃度の上昇的に溶血に至るかを解明するために、光を用いて非侵襲的に赤血球損傷を診断するシステムの確立を目指した。血液における光散乱は、主に赤血球によるものであり、Mie散乱として表現することができる。Mie散乱は粒子の体積と屈折率に依存する散乱であるから、血液ポンプを用いて還流することで、赤血球の体積及び内部ヘモグロビン濃度の変化が起こり、これによる血液の光散乱特性の変化をとらえることで赤血球損傷が診断できることになると仮説をたてた。 まず、連続流血液ポンプで血液を環流することで、血液中の平均赤血球体積(Mean Corpuscular Volume:MCV)及び平均赤血球内部ヘモグロビン濃度(Mean Corpuscular Hemoglobin Concentration:MCHC)がどのように変化するかを、Coulter式自動血球分析装置で計測したところ、MCVの増加およびMCHCの減少を確認し、MCVおよびMCHCを指標として、赤血球損傷が評価可能であることが示唆された。MCVとMCHCからMie理論を用いて赤血球の光学特性(吸収断面積,散乱断面積,異方性パラメータ)を算出した。時間分解光計測法によって、血液中を透過する光子エネルギーと伝播時間を求めたところ、Mie理論によって求めた光学特性との対応を得た。このことから、時間分解計測法とMie理論を用いることによって、MCVとMCHCが光学的に推定できることが示唆された。
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