Research Abstract |
本年度は,前年度にて提案した高品位触覚提示装置の改善と,食感増強装置への実装を試みた.初年度にて考案した手法は,時間方向に高品位な触覚を提示することで,従来の触覚提示手法では成し得なかった高い表現力を持つ触覚提示が可能となるものである.本年度は上記の手法の可能性を示すため,まず複数の触覚コンテンツの提案を行った.提案した触覚コンテンツはそのどれもが高い評価を受け,学会で多数の賞を授賞するなど,大きな成果を収めた.以上より,本装置の有効性が示されたと言える.次に,本手法による波形の再現性に関する改善を行った.現在の手法では,皮膚・アクチュエータ間か密着していない場合に空気漏れが発生してしまい,指定した食感が提示できない場合があった.この問題の解決手法として,シリコン膜を用いてスピーカを覆う,開口径の調節アタッチメントを装着する等の試みを行い,一定の成果を得た.また,更なる波形の再現性向上を目指し,密閉空間内の空気圧を監視し,適切な圧力となるようにフィードバック制御を試みた.この結果,特に低周波域において再現性の改善が見られた.これらの改善手法を実装することで,これまで以上に高品質な触覚インタラクションが実現できると考えられる.本手法の食感増強装置への応用として,まず吸飲感覚提示装置について行った.新たな装置では,アクチュエータ数が削減され,波形の再現性が飛躍的に向上するなど,本触覚提示手法が食感増強装置にとって非常に有効であることが示された.また,現在新たな食感増強装置の開発もスタートしており,それに関しても本触覚提示手法が使用される予定である.
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