2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J10760
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
矢木 宏和 Nagoya City University, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | N型糖鎖 / 神経系 / カタユウレイボヤ / 糖鎖プロファイリング / キシロース |
Research Abstract |
神経系には糖鎖を介した複雑な細胞間相互作用ネットワークが存在し、脳の高次機能発現に関与していると考えられる。本研究では、糖鎖プロファイリング技術を基盤とし、神経に発現している糖鎖を探索することを試みた。さらには糖鎖を介するレクチン、糖タンパク質を探査し、それら分子の時間的、空間的な局在や発現量を把握することで、神経系における細胞間のネットワーク形成機構を解明することを目的とした。カタユウレイボヤの神経複合体を含む6つの組織の糖鎖プロファイリングを行うことで、神経系における新たな機能性糖鎖を探索することを目指した。その結果、ホヤの神経複合体に特異的に発現している糖鎖を発見し、その構造を明らかにすることに成功した。この糖鎖は神経複合体由来の糖鎖の中で70%以上の割合を占めており、N型糖鎖のコア構造にキシロース残基がβ1-2結合しているという特徴を示していた。さらには、このキシロース含有糖鎖がホヤの神経複合体の単一種類の膜タンパク質上に発現していることを見出し、その膜タンパク質(clone:cieg020o17,GenBank accession no.AK114875)を同定することに成功した。この膜タンパク質は機能未知タンパク質であり、EST解析のデータベースによると、神経複合体に特異的に発現していることが判明した。興味深いことに、このタンパク質のcDNA配列から予想されるN型糖鎖結合サイトは17カ所も存在していることから、多数のキシロース含有糖鎖を発現していることが考えられる。これまでにNCAMをはじめとする細胞接着因子は、多数の糖鎖結合部位を有しており、そこに結合したHNK-1糖鎖、ポリシアル糖鎖が機能するための足場として働いていることが報告されている。こうしたことからも、キシロース含有N型糖鎖は神経系において新たな機能を持っている可能性が期待される。
|
Research Products
(8 results)