2008 Fiscal Year Annual Research Report
振動分光法による生体超分子中のアミノ酸残基の機能解析
Project/Area Number |
07J10787
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
柳澤 幸子 University of Hyogo, 大学院・生命理学研究科, 特別研究員PD
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Keywords | チトクロムc酸化酵素 / ミトコンドリア / 生体エネルギー変換 / プロトンポンプ / 膜タンパク質 / 酸化的リン酸化 / 振動分光法 / 時間分解共鳴ラマン分光法 |
Research Abstract |
ミトコンドリア(Mt)内膜にある呼吸鎖電子伝達系においてチトクロムc酸化酵素(CcO)が、酸素分子を水にまで還元すると共に、プロトンを膜の内から外へ能動輸送する共役機構を解明する事が本研究の目的である。Mt内膜を隔てた膜電位はCcOの反応調節への関与が示されており機能発現の解明に繋がると考えられる。本研究では、Mtそのものを試料として時間分解共鳴ラマン分光法により、反応調節のしくみを明らかにしたいと考えている。本年度は、昨年度確立した調製法に基づき、Mtを調製した。また、時間分解共鳴ラマン測定の際に用いる、酵素反応追跡用人工心肺装置の改良を行った。これにより、酸素を取り込む酸素肺以外での酸素の混入が最小限に抑えられ、測定に必要な試料の体積も3分の2程度に減少した。前者は、反応の開始をコントロールする上で必要で、後者は、希少な試料を用いる本研究を遂行する上で重要な改良であった。また、CcOを人工リン脂質二重膜に再構成したCOVは、Mt中のCcOのモデルとなる。本年度は、新たな測定系の確立を行なった。これにより、膜電位の有無によるCcOの構造変化の違いを分光学的に検出する準備が整った。また、通常CO結合型CcOに光を照射してCOを光解離する事により酸素還元反応を開始している。この時、CO結合型CcOの分光学的性質と速度論的性質を理解する事が必要である。この考えに基づきCO結合型CcOの種々の振動モードの励起プロファイルを作成し、CO結合型CcOの分光学的性質への理解を深めた。 CcOと同様に酸素と反応するヘムタンパク質である、インドールアミン2,3ジオキシゲナーゼは、二原子酸素添加酵素である。この反応機構は現在実証されていない。反応中間体を捕らえる事を目的に共鳴ラマンスペクトル測定を行ない、二つの反応中間体の配位構造を明らかにし、提唱されている反応機構に一石を投じた。
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