2007 Fiscal Year Annual Research Report
ラミニンγ1の神経管組織構築における役割-メダカを用いた発生遺伝学的解析-
Project/Area Number |
07J10806
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
津田 佐知子 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Laminin / 核移動 / 神経上皮細胞 / FAK |
Research Abstract |
神経管組織形成において、神経前駆細胞は脳質(apical)面で分裂し、生み出された神経細胞が、基底側に移動して新たな層を形成する。脳質面での分裂は種間で保存された現象であるが、分裂の位置決定のメカニズムは、未だあまり明らかでない。さらに、この細胞では、細胞周期依存的に繰り返される核移動(interkinetic nuclear migration(INM))があり、核の位置決定のモデルとしても興味深いが、このメカニズム、意義は殆ど不明である。私はこれまでに、メダカlamininγ 1突然変異体tacobo(tab)を用い、tabでLamininの神経管基底面への局在が失われること、また神経上皮細胞の核分裂が異所的に起こることを示し、基底膜Lamininが神経管での核の分裂位置決定に重要であることを初めて示した。本研究では、核分裂の位置決定過程を明らかにするために、彪ゐでの、細胞の基本形態、核移動、またLamininの下流シグナルについて解析した。 まず、神経上皮細胞の基本形態について、細胞極性分子の抗体染色と、細胞膜ラベルによるライブ観察により、細胞の極性やapical,basal面への接着という神経上皮細胞の基本形態はtahで正常であることを示した。またタイムラプスイメージングにより、tabでは、INMに異常が生じ、脳室面に達せずに核が分裂することを示した。さらに、pEAK抗体染色、またFAKのknockdownにより、分裂位置決定にはLamininの下流のintegrinシグナルが介在することを示した。以上のことから、基底面からのLamininを介したシグナルが、INMを制御し、神経上皮細胞での核分裂の位置を決定していることが示唆された。今後はこの核移動異常をもたらすメカニズムをさらに明らかにするとともに、異所分裂細胞の運命を追い、核移動の機能を明らかにしたい。
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Research Products
(1 results)