2007 Fiscal Year Annual Research Report
水素結合ネットワークを有する物質の極限環境下における精密構造解析
Project/Area Number |
07J10822
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小松 一生 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 高圧 / 単結晶中性子回折 / 含水鉱物 |
Research Abstract |
(1)7万気圧までの高圧下単結晶中性子回折実験と解析手法の確立 軽元素を含む物質の結晶構造解析に最大の威力を発揮する単結晶中性子回折は、特に水素の挙動一非等方的な原子の変位やトンネル効果による特異な原子分布一を観察できるほとんど唯一の手法である。しかしながら、微弱な中性子強度を精度よく測定するためには1mm3を超える試料サイズが必要であり、これまで3GPaを超える圧力下での単結晶中性子回折実験は行われてこなかった。申講者の渡航先であるエジンバラ大学極限科学研究センターでは、数年前から、英国およびフランスの強力な中性子源および独自の高圧セルを利用して、7GPa程度までの高圧下における単結晶中性子回折実験に取り組んできた。その中で、申請者は昨年の2月から、このプロジェクトに参加し、得られたデータの補正法や少ないデータを用いての構造解析手法の開発を行ってきた。今後は、高圧セルと回折光学系の最適化、特に検知器の特性評価を集中的に行う予定である。 (2)含水鉱物、特にアルミニウム水酸化物の高圧下における結晶構造解析 今年度の大きな成果の一つとして、18万気圧以上もの超高圧下でも安定に存在しうるアルミニウム水酸化物(δ-AlOOH)の粉末中性子回折法を用いた結晶構造解析があげられる。粉末中性子回折から得られた結果によると、純粋なδ-AIOOHではあるサイトに局在化していた水素が、微量のMg,Siを加えることで、2つのサイトを無秩序に占有し、このことが結晶全体の対称性をも変化させることがわかった。この結果の一部は、昨年9月に行われた国際結晶学連合のワークショップにてポスター発表を行った。
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Research Products
(9 results)