2008 Fiscal Year Annual Research Report
争訟化行動段階評価をめぐる実証的研究-医療不信風土における死因究明を素材に-
Project/Area Number |
07J10885
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 貴子 Kyushu University, 医学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 事後対応 / 初期対応 / 争訟行動 / 司法解剖 / 解剖情報 / 医師の適性配置 / 遺族 |
Research Abstract |
本年度は初年度に行った現状分析を踏まえ、下記のとおり研究を継続・発展させた。 1.司法解剖実施ご遺族への質問紙・ヒアリング調査 司法解剖実施ご遺族の争訟化行動への過程分析を目的に、2つの国立大学法医学教室と別途公的機関の協力を経て、遺族への質問紙・ヒアリング調査を実施した(倫理審査委員会承認済)。結果、司法警察員による遺族への事前及び事後の説明不足とそれに起因する関係者との関係悪化と、司法解剖実施に伴うご遺族の精神的負荷が極めて重いことが判明した。このことは下記2の関係者への初期対応研究に継続された。 2.解剖時の関係者への初期対応のあり方の研究 上記1の調査結果を基に、特にご遺族への司法解剖実施時の初期対応のあり方を質的に分析・検討し、司法当局と密接なる協議を行った上で当局・遺族への対応リーフレットを作成した。司法解剖実施時に司法警察員からご遺族に頒布される当該リーフレットは当該研究成果の社会への還元という形で現在試験的にではあるが運用が図られている。これらの研究成果の一部は日本賠償科学会にてシンポジストとして報告したほか、現在国際学術誌への投稿を予定している。 3.法医学者適性配置に関する研究 争訟化遺族への初期対応のあり方を検討する上で、法医学者の人材不足が昨今指摘されていることから、人材の適性配置に関して研究を行った。当該研究に際し適宜、監察医務機関における検案・解剖業務にも同行した。当該研究結果はその一部を投稿し下記のとおり受理掲載された。 本年度は上記学会発表および学術誌への論文投稿のほか、日本法医学会総会、ISALM・WCML等国際学会にて昨年度からの研究成果の発表を行った。 本研究の最終年度となる次年度は、初年度・本年度の研究結果を踏まえ、複数の他者との関係性に起因する遺族の争訟化行動をめぐる研究、医学-法学の分野横断的考察を通じて完結させる予定である。
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Research Products
(7 results)