Research Abstract |
国内の都市域,郊外,離島地域の湾・湖沼・溜池における堆積物中から化石燃料(石炭・石油)燃焼の指標となる燃焼物質である球状炭化粒子(SCPs)を用いて,大陸からの越境大気汚染,国内間における化石燃料燃焼の影響について観測記録のない過去100年程度から現在までを時間的・空間的に解析を行った.粒子の燃料種(石炭・石油)の起源を明確にするために,SCPsの表面形態と化学組成を利用することが有効であり,歴史的に化石燃料の燃焼の消費・変遷が明確な大阪で採取したSCPsの表面形態,化学組成(18元素)をSEM/EDSを用いて行った. 表面形態と化学組成の関係性を統計解析の1つである判別分析を用いて,2種の燃料種(石炭起源,石油起源)に識別することができた.2種を判別する際に有効な元素がS,Al,Mgであることがわかった.この判別分析の結果を他地域に適用することが可能であるか,東京で採取したSCPsの表面形態及び化学組成に適用した結果,燃料種の時代変化を明瞭に示した.離島地域の隠岐では,石炭起源と考えられる粒子が卓越した.中国で採取したSCPsの表面形態・化学組成は,国内での分析結果と組成が異なり,石炭起源を示す粒子が卓越した.各地域の粒子分析については現在も進めているが,この手法による粒子の燃料種推定は,各地域に適応可能であり,日本海上の離島地域における化石燃料燃焼の影響が詳細に解析可能である.今後も継続して,大陸-日本間の越境飛散についての歴史的影響評価を行う.
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