2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J10925
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
桐山 麻貴 (中筋 麻貴) Tsuda College, 学芸学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 離散スペクトル / 最小固有値 / Generalized Ramanujan Conjecture / 球関数 / 結晶基底 / Gindikin-Karpelevich formula / ヤング図形 / Weyl群 |
Research Abstract |
本年度は,離散スペクトルの最小固有値の評価,およびK-type付高次元におけるスペクトルの分布状況の解明に必要なLie群に関する研究に取り組んだ. 1.3次元双曲空間における離散スペクトルの最小固有値の問題に取り組んだ.昨年度の先行研究において,指標の扱いに問題があることがわかっていた.本年度はこの問題点を明らかにし,米国スタンフォード大学のTrotabas助教授と討論することによりこれを解決した.これにより3次元双曲空間における離散スペクトルの最小固有値の評価を完成させた.得られた結果は論文にまとめ現在投稿中である.また米国プリンストン大学のSarnak教授と結果の意義について討論し,本研究の本質を確認した.一方,11月に米国数学研究所(The American Institute of Mathematics)にて開かれた研究集会で「解析数論において今後取り組むべき問題」の1つとして本研究の一般化が取り上げられた.このことから本研究の重要性は明確である.2.K-type付高次元の連続スペクトルの分布状況の解明には,Eisenstein級数および保型L関数の解析が必要である.このため,関連する球関数の性質を解明する必要がある.本研究については,米国スタンフォード大学のBump教授と共同研究として取り組んでいる.本年度の研究では,リー群Gの最大ベキ単部分群Nにおける球関数の積分が,結晶基底の言葉で書き換えられることを示した.結晶基底は量子群の表現の基底と関連して定義されるもので,ヤング図形と関係することが知られている.すなわち,本研究はスペクトルの解明のみならず,Lie群や表現論,量子群など幅広い分野での応用が期待できる.特にBump教授が以前から取り組んでいるワイル群多重ゼータ関数の数値的データが本研究結果の応用として得られるため,本研究は今後の研究発展において意義のある結果であるといえる.本年度の研究は論文にまとめ,現在投稿中である.また,本結果を2月のスタンフォード大学の数論セミナーで発表した.
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Research Products
(3 results)