2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J10925
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
桐山 麻貴 (中筋 麻貴) Tsuda College, 学芸学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | セルバーグゼータ関数 / スペクトル表示 / 高次元化 / スペクトル問題 / Kloosterman和 / 素測地線定理 / 最小固有値 / 保型表現 |
Research Abstract |
1)本年度は,先行研究成果である次元双曲空間におけるセルバーグゼータ関数のスペクトル表示を他次元に拡張する研究に取り組んだ.2次元に関して結果が得られたので,これを3次元の成果とあわせて論文にまとめ,現在投稿中である.一方,高次元化については収束性および多重ガンマ関数の精密な表示を得る部分に問題が残り,現在はこの問題を解決する方法について研究中である.この問題点が解決することにで,他の研究における高次元化にも応用できることが期待できる.また昨年8月に行われた合宿型研究集会である「八王子セミナー」に参加し発表を行った.研究集会で議論されたリーマンゼータ関数に関する情報は,類似のゼータ関数であるセルバーグゼータ関数の研究を行うにあたり非常に重要であり,今後の研究を遂行するうえで貴重な経験となった.2)来年度および再来年度に着手予定であるスペクトルの分布状況の研究について,基礎知識の習得に着手した.本取り組みにより,スペクトル問題の解決におけるKloosterman和の必要性を確認した.さらに,このKlooesterman和について知識を蓄積しその利用方法を習熟することで,測地線の分布を表す「素測地線定理」の改善が期待でき,その他の問題への応用が可能であることを確認した.このように本年度の基礎的研究成果により,来年度以降の研究の問題点とその解決方法が明確になった.この一方で,スペクトル問題の解明にむけたもう一つの取り組みである離散スペクトルの最小固有値の評価を目的とし,保型表現についての研究に取り組んだ.本研究で得られた成果を用いることで,3次元双曲空間における離散スペクトルの最小固有値の評価と保型L関数のsubconvexityの改善が期待できる.以上のように,本年度は来年度以降の研究に大きな役割を果たす基礎知識と方法論の取得に努めた.
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