2008 Fiscal Year Annual Research Report
バイラテラル遠隔操作に基づく複合感覚ネットワークシステムの構築
Project/Area Number |
07J10940
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
名取 賢二 Keio University, 理工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 通信遅延 / むだ時間 / ネットワークベース制御 / ハプティクス / テレロボティクス / バイラテラル制御 / 通信外乱 / 通信外乱オブザーバ |
Research Abstract |
本年度は、通信外乱の概念と通信外乱オブザーバを用いた通信遅延補償法をバイラテラル制御系に適用した際の性能評価と、時変(ジッタを有する)通信遅延が制御系および当該通信遅延補償法に及ぼす影響について重点的に研究を行った。まず、上記通信遅延補償法をバイラテラル制御系に適用した場合の性能評価に関しては、バイラテラル制御系の性能評価指標の一つである透明性の概念に基づいて解析を行った。ここで、透明性の概念は昨年度も導入したが、従来の透明性の定義は通信遅延を考慮したものではなく、通信遅延存在下でその理想条件を満足する制御系を設計することは物理的に不可能であった。そこで本年度は、通信遅延が存在する場合に特化した透明性の定義を用いた。具体的には、バイラテラル制御系のハイブリッドパラメータそれぞれについて、制御ゲインを変化させたときの周波数特性を計算し、それが透明性の理想状態にどのように関連しているかを検討した。これにより、各々の制御ゲインが、対象とするバイラテラル制御系の性能のどの部分にどのように影響するかが明らかになった。この結果を用いることで、要求仕様に応じたバイラテラル制御系の設計が可能となるだけでなく、同様の解析をさらに拡張し、より一般化された設計論を確立することも可能となる。次に、時変通信遅延の影響については、まずいくつかの種類の時変通信遅延の場合について簡単な信号伝達試験を行い、時変通信遅延特有の挙動を観察した。結果として、特定の種類の時変通信遅延存在下では、一定通信遅延の場合には見られない非線形の挙動が現れることがわかった。次に、その特有の挙動が上記通信遅延補償法の補償効果にどのように影響を及ぼすかについて検討し、当該非線形挙動が強く現れる場合においては制御系が不安定になる可能性があることが明らかになった。
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Research Products
(14 results)