2008 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ波プラズマCVD法によるハイパワーナノダイヤモンドダイオードの作製
Project/Area Number |
07J10950
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
池田 知弘 Kyushu University, 大学院・総合理工学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ナノダイヤモンド薄膜 / パワーデバイス / マイクロ波プラズマ / CVD / pn接合 / 逆方向リーク電流 |
Research Abstract |
本研究の目的はn型ナノダイヤモンドを用いたハイパワー、低消費電力、高温動作ダイオードの作製および評価である。前年度までにp型シリコン/n型ナノダイヤモンドダイオードの整流特性は膜の伝導特性に強く依存し、高温で作成した半金属的伝導を示すナノダイヤモンド膜では整流性を示さないことを明らかにした。しかし逆方向リーク電流はいまだ大きいため、本年度はリーク機構の解明を試みた。得られた成果を以下にまとめる。 ナノダイヤモンド膜の電子輸送機構は熱活性化と中間準位間のホッピングで説明できるとされている。そこでまず、中間準位におけるキャリアの電子状態の評価を行った。結果、成膜温度が増加すると中間準位のキャリアが強く非局在化してバンドを形成し、最終的にはグラファイトに似た連続的なバンドになることがわかった。 ナノダイヤモンド膜のバンド構造を評価するために紫外光電子分光(UPS)測定を行った。結果、成膜温度に依らず、膜の電子親和力は0.5eV程度で正、フェルミ準位は約1.2eV価電子帯上端から上にあることが分かった。 p型シリコン/n型ナノダイヤモンドヘテロ接合のリーク電流は(1)ナノダイヤモンド膜中の少数キャリア濃度、(2)p型基板の価電子帯上端のポテンシャルに主に依存すると考えている。高温で成膜すると、中間準位の電子が非局在化し、半金属的バンドを形成する。このため少数キャリア濃度が増加し、リーク電流が増加する。またナノダイヤモンド膜πバンドがSi価電子帯上端より低いポテンシャルまで在るため、ナノダイヤモンド膜中の少数キャリアがπバンドからSiの価電子帯に直接流れこみ、リーク電流となる。したがってリーク電流を抑制するには、キャリアの非局在化を抑える、また膜-基板界面で少数キャリアに対して電気的障壁が高くなるように価電子帯を接続することが効果的であると考えられる。
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Research Products
(4 results)