2007 Fiscal Year Annual Research Report
中国における再生産労働の政治と女性の主体位置-北京・西安の家政サービスを事例に
Project/Area Number |
07J10982
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
大橋 史恵 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | 家政サービス / ジェンダー / 中国 / 「素質」言説 / 再生産労働 / 農村-都市間関係 |
Research Abstract |
今年度は現地フィールドワークを中心に、6種類の調査とその結果の分析にとりくんだ。 2007年5月来から6月に北京を訪問し、調査(A)北京における家事労働者をめぐる法的問題の現状について専門家、活動家に対する聞き取り調査、(B)同問題についての家政サービス業者の認識についての聞き取り調査を実施した。また2008年2月には調査(C)北京の専門家・活動家に対する聞き取り調査を通じた最新動向の把握(2008年1月施行の「労働契約法」の影響など)、(D)農村出身家事労働者に対する個別的聞き取り調査。(E)西安市の家事労働者の労働組合における聞き取り調査を実施した。さらに資料調査として(F)現地滞在中に関係者から得られた一次資料のほか、首都図書館のアーカイブから収集した新聞・雑誌記事を精読し、農村-都市間の労働力移転政策において家政サービスの職業訓練が重視されるようになった経緯を追跡した。以上の調査を通じ、農村女性の都市への移動と、再生産労働力の提供の背景にあるジェンダーの政治を明らかにすることを目指した。具体的には、「素質」(教育や訓練を通じて後天的に獲得しうるような技能や教養、知識、道徳心を含むような能力の束)という言説に焦点をあて、家政サービスの「職業化」とよばれる正規市場形成の動きについで、ジェンダー視点からの考察をおこなった。なお、本年度の調査の成果は国際シンポジウムでの口頭報告(2007年9月)と学術誌への投稿論文(2008年2月)にまとめられている。
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Research Products
(2 results)