2008 Fiscal Year Annual Research Report
部位特異的リジン残基修飾を目指したアミン反応性DNAの合成とその機能評価
Project/Area Number |
07J10984
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
臼井 一晃 Kyushu University, 大学院・薬学研究院, 特別研究員(PD)
|
Keywords | C4'-OAS / ケージ / 脱塩基部位 |
Research Abstract |
C4'酸化型脱塩基部位(C4'-OAS)を含む酸化DNAの効率的生成法の開発と、C4'-OASを有する酸化DNAによる蛋白質リジン残基の部位特異的修飾による機能研究への応用を目的とし、以下の研究項目を中心に実験を行った(研究項目は交付申請書の研究実施計画に掲げた項目1-4に相当する)。 項目1,2:光照射によってC4'-OASに変換可能な前駆体として、光分解性保護基(ケージ)の導入位置が異なる2種のケージドュニット(ケージドヌクレオシドおよびケージドフラノシド)合成に成功した。さらにそれらを含む2種類のケージドDNAを合成した。ケージドDNAの光反応性(速度論解析、定量解析)を詳細に検討した結果、ケージドヌクレオシドを含む二重鎖DNAが最もC4'-OASへの変換効率に優れており、酸化DNAの良好な前駆体となり得ることを見出した。また、これらの光反応研究から、ケージが導入された位置及びDNA全体として見たときのケージが置かれているDNA環境が光反応性に影響を与えることも分かった。この知見は、ケージド化合物の生体利用の展開において重要な光化学的基盤を提供するものである。 項目3:DnaA蛋白質のDNA結合部位(ドメインIV)を用いてのリジン修飾実験を行った。ドメインIV中の部位特異的リジン残基修飾反応の進行の有無をMALDI-TOF MSによって行った。その結果、ドメインIV中にある7つのリジン残基の内、一つリジン残基が修飾(ラクタム化)された推定分子量の誤差範囲内に相当するピークが観測されたことから、C4'-OAS近傍のリジン残基が修飾されている可能性が示唆された。このことは、DNA酸化がもたらす生体機能への影響の理解とケージドDNAによる酵素機能制御に関する基盤技術の創出に資するものと期待される。
|