2007 Fiscal Year Annual Research Report
中国雲南イネ品種が有する穂ばらみ期耐冷性の解析〜強度耐冷性遺伝子の単離〜
Project/Area Number |
07J11012
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
汐海 沙知子 Tohoku University, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DCI)
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Keywords | イネ / 低温ストレス / QTL解析 |
Research Abstract |
これまでに、中国雲南のイネ品種「麗江新団黒谷」に由来する強度穂はらみ期耐冷性QTLを検出しており、この領域の遺伝子型がヘテロ型であり、遺伝背景がほぼ「ひとめぼれ」に置換された準同質遺伝子系統を5タイプ得ている。このような系統の自殖後代であるF2世代の5集団を用い、耐冷性検定圃場(東北農業研究センター、秋田県大仙市)において、水温18.4℃、水深25cmの条件で6月下旬から9月上旬までの約2ケ月間冷水処理を行い、低温条件下での稔実率を測定した。また、同様の個体について遺伝子型を調査した結果と合わせ、QTL解析を行った。その結果、複数の系統で候補領域にQTLを検出する事ができ、この領域にQTLが座上していることを確認できた。しかし、QTLが検出された領域は系統の遺伝子型タイプによって差異があり、領域を絞り込むには至らなかった。この結果は、遺伝背景が完全に「ひとめぼれ」に置換されていないことによる影響、および個体として稔実率を調査しているために環境の影響を受けて値にぶれが生じやすいことが考えられた。この点を改善して候補領域を絞り込むため、遺伝背景の固定化を進めるためのマーカー作成、および準同質遺伝子系統に対してさらに戻し交配を行った系統群を作成し、個体ではなく系統として評価するための材料育成を行った。染色体全領域に対して網羅的なマーカー作成を行うため、454シーケンサーを用いて「麗江新団黒谷」の染色体領域を合計約2Mb解析し、「日本晴」に対するSNP情報を約2000個得て、順次SSCPマーカーへの変換を行っている。また、BC3F3世代の集団1204個体について遺伝子型選抜を行い、組換え系統を12タイプ合計148個体得、これらについて自殖したBC3F4系統を得た。 ドットブロット分析は大量検体の遺伝子型を簡易に判定できる方法であるが、この方法をさらに安価かつ簡易に行うことができるように技術改良を行った。さらに大量個体のDNA抽出過程を簡略化する簡易DNA調整法を開発した。
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