2008 Fiscal Year Annual Research Report
高品質高温超伝導積層ジョセフソン接合の作製プロセスの確立とその回路化研究
Project/Area Number |
07J11031
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木村 大至 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 酸化物高温超伝導体 / ジョセフソン接合 / 単一磁束量子回路 / 積層型接合 |
Research Abstract |
昨年度に目標を前倒しする形で高温超伝導体を用いたサブテラヘルツ動作実証に成功した(論文1)。本年度では、主に作製プロセスの信頼性の向上と回路の歩留まりの向上に努め、それらを改善した後テラヘルツでの動作実証を目標とした。上記の目標の結果テラヘルツでの回路の動作実証には至らなかったものの、これまでにNb回路の出力アンプ部として用いる二重接合を用いた回路に必要となる配線層を独立して作製できる方法を提案したこと、複数回の高温プロセスを経ても電極の酸素抜けを防ぐために酸素透過性の高い層間絶縁材用の適用などを進めてプロセスの信頼性の向上が達成できた(学会発表4など)。それらについて以下に詳しく述べる。 昨年度までのプロセスでは積層型接合の小規模回路応用を優先させたため、層間絶縁層には実績があり高温超伝導体と格子ミスマッチが少ないPrGaO3を用いた。しかし、層間絶縁層に用いているPrGaO3は酸素透過性が低いという欠点があり、その後の高温プロセスにおいて下部電極の超伝導性が劣化してしまうといった問題が存在した。また、上部電極をそのまま配線層として用いる方法においても、小規模回路では問題とならないものの、我々の提案している二重接合が作製できない、大規模回路には向かないなどの問題があった。 これらの問題を解決するために、これまで人工障壁層として用いられてきたGa0.1doped-PrBaCuO(GaPBCO)を層間絶縁層として採用した。これにより、高温プロセス中においての電極の劣化を抑えられることをX線回折や抵抗-温度特性で確認し、接合が安定して作製できることを確認した。さらに、配線層を増やした下部電極/層間絶縁層/上部電極/層間絶縁層/配線層の5層のプロセスの基本プロセスについても報告した(学会発表4)。これらの結果は昨年までの研究成果と併せて今後の高温超伝導体を用いた積層接合回路化プロセスの基盤技術の確立に貢献する結果であると考えている。
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Research Products
(8 results)