2007 Fiscal Year Annual Research Report
高品質高温超伝導積層ジョセフソン接合の作製プロセスの確立とその回路化研究
Project/Area Number |
07J11031
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木村 大至 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 酸化物高温超伝導体 / ジョセフソン接合 / 単一磁束量子回路 / 積層型接合 |
Research Abstract |
本年度の研究実績としては、積層型ジョセフソン接合の特性向上のため、障壁層作製時のプラズマ源の検討を行ったこと、また.高温超伝導体を用いた積層型接合としては初めてとなる小規模回路応用を実現し、トグルフリップフロップ回路において本材料では世界最速となる500GHzでの動作実証に成功したことが挙げられる。それぞれの研究実施状況について具体的に述べる。障壁層作製時のプラズマ源については、計画でも述べていたように、従来用いられてきたECRプラズマに代えて表面波プラズマを用いた。その結果、障壁層形成時の下部電極の表面組成、Cu/Yの比が接合特性に大きく影響を与えていることを突き止めた。また、小規模回路応用について積層型接合では回路を作製することが初めてであるため、インダクタンス測定、回路シミュレーション、絶縁層の選択、配線層を含む多層化プロセスの実現を行う必要があった。小規模回路を実現するために、高温超伝導体の薄膜のシートインダクタンスを測定し、その結果を利用して回路シミュレーションを行った。その際には、ばらつきが大きい高温超伝導体ジョセフソン接合の特性を考慮して臨界電流値の変化に対して動作マージンが最大になるように設計を行った。また、絶縁体にはいくつかの候補を提案し、その中で高温超伝導体と格子ミスマッチが少なく、これまでに実績のあるPrGaO_3を用いた。さらに、多層化時において、接合作製後の高温プロセス時における接合特性の劣化をふせぐため、上部電極層をそのまま配線層として用いる方法で回路を作製した。これらの結果、高温超伝導体を用いた積層型接合によって作製したトグルフリップフロップによって500GHzまでの動作実証に世界で初めて成功した。今後条件を最適化することにより、世界最速の論理動作となる800GHz以上での動作実証を目指す。
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Research Products
(5 results)