2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J11033
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
金岡 英徳 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 染色体工学 / エピジェネティクス / 発生・分化 |
Research Abstract |
肝臓で特異的発現しているトリプトファンオキシゲナーゼ(TO)遺伝子の制御メカニズムを核内構造体(核マトリクス)との相互作用に基づき、解析を行った。核マトリクスに結合する領域(MAR)をTO遺伝子上で探索し、分画法により確認したところ、転写開始点から上流約8.5kbの位置に新規MARを同定することができた。さらに、この領域はラット成熟肝細胞でグルココルチコイドホルモン依存的に結合量が増加するが、幼若肝細胞ではそのような増加は見られず、常に核マトリクスと強固に結合するという特徴を示した。S/MARと核マトリクスとの結合にグルココルチコイドホルモンの受容体であるGRの関与が推測されたため、S/MARの近傍領域でクロマチン免疫沈降法(ChIP assay)とゲルシフトアッセイを行い、GRの結合の有無を解析した。その結果、成熟肝細胞ではホルモン依存的なGRの結合が見られ、S/MARの近くに新規のグルココルチコイド応答配列(GRE)が存在することが明らかとなった。また、TO遺伝子のS/MARとTATA-boxには、約8.5kbの隔たりがあるのにも関わらず、GR、核マトリクスの構成タンパク質hnRNP U、laminA/Cやリン酸化RNAポリメラーゼIIなど、多くの共通した因子がホルモン依存的に結合していることが分かった。この結果は、TO遺伝子が臓器特異的遺伝子発現に重要であると考えられているクロマチンループ構造を形成している可能性を示唆し、TO遺伝子の肝臓特異的発現に転写因子だけではなく、核内構造体に基づく染色体の高次構造が重要であることを示すものである。現在、この研究から得られた結果をまとめた論文をBiochemical and Biophysical Research Communications誌に投稿中である。
|