2007 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子ネットワークにおける確率ダイナミクスと揺動散逸関係の破れ
Project/Area Number |
07J11035
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡部 ゆりえ Nagoya University, 大学院・工学研究科, 特別研究員DC2
|
Keywords | 遺伝子ネットワーク / 生体分子ネットワーク / ゆらぎ / ノイズ / 細胞周期 / システムバイオロジー |
Research Abstract |
生命現象は様々な生体分子の働きによって引き起こされるが、そのシステムが安定な振る舞いを実現・維持するためには、遺伝子発現が適切に制御される必要がある。すなわち、適切な時期に適切な種類の遺伝子から適切な量のタンパク質が合成される必要があるのであるが、この制御は曖昧で確率的に起こることが実験的に知られている。本研究では、そのような遺伝子発現における反応のノイズやそれに伴う生体分子の個数の揺らぎについて、どのような機構や原理によって制御されているのかを解明することを目的とする。 当該年度においては、まず、前年度までの2件のプロジェクトの成果をそれぞれまとめ、論文として発表した。1件は、細胞周期に関わる遺伝子とタンパク質の制御ネットワークについての研究で、そのダイナミクスが確率的揺らぎの中でも安定した周期性を維持できる仕組みを数値シミュレーションによって解析した。もう1件は、1細胞における遺伝子発現の確率的ゆらぎと応答を記述する理論的手法の開発に関する研究で、この手法を用いて、カップルした複数の反応の頻度の違いが遺伝子発現のシステム全体の振る舞いにどのような影響を及ぼすかを解析した。 さらに、次のプロジェクトとして、遺伝子発現の空間的パターンの形成とその揺らぎに関する研究を開始した。双翅類の胚発生においては、胚先端部で合成された転写調節タンパク質(Bcd)が細胞質内を拡散し、胚表層部の核に入ってhbなど標的遺伝子の発現を制御する。本プロジェクトでは、これらの遺伝子発現の空間的パターンが胚のサイズでスケーリングされる機構や、空間的パターンが正確に形成される機構を理論的に解明することを目的としている。当該年度においては、1次元および3次元の反応拡散モデルを構築し、モンテカルロ法を用いた確率数値シミュレーションを行った。
|
Research Products
(8 results)