2009 Fiscal Year Annual Research Report
液胞・リソソーム系におけるポリリン酸の代謝機能の解析
Project/Area Number |
07J11044
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
八木沢 芙美 Rikkyo University, 理学部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 液胞 / ポリリン酸 / Cyanidioschyzon / TOF-MS / VIG1 |
Research Abstract |
液胞あるいはリソソームは、細胞内分解を担う重要なオルガネラである。下等真核生物の液胞にはリン酸の直鎖状ポリマー、ポリリン酸が蓄積し(Kulaev et al.2004)、哺乳類のリソソームもポリリン酸を合成する(Pisoni and Lindley, 1992)。さらに、バクテリアにおいてもポリリン酸を蓄積した、液胞・リソソームに類似した構造が存在する(Seufferheld et al.2003)。このため、起源的な液胞・リソソームがこのようなポリリン酸蓄積型であった可能性が考えられる。しかしながら、その代謝機構と機能は未解明の部分が多い。本研究の目的は、液胞・リソソームにおけるポリリン酸の代謝および機能を明らかにすることである。原始紅藻Cyanidioschizon merolae(シゾン)はゲノム配列や進化系統から、真核生物の基本的な性質と進化の解明に有用である。これまでに私は、シゾンから液胞を単離し、MALDI-TOF MSにより45種類の液胞構成タンパク質を同定した。この結果、ホスファターゼなどポリリン酸代謝に関わる可能性のあるタンパク質を複数同定してきた。今年度は、これらの成果を論文発表し(Plant J.2009)、それらの遺伝子破壊株を作製した。さらにナノ液体クロマトグラフィーを使い、網羅的に液胞構成タンパク質を同定することが出来た(島津製作所と共同研究)。以上の成果により、液胞でのポリリン酸代謝の全貌が明らかになるだろう。また一方で私は、液胞がミトコンドリアと結合することを発見し、結合に必要な遺伝子VIG1を共同して同定した(Plant Cell, 2010)。ミトコンドリアの代謝活性とポリリン酸との関連性が示唆されているので、VIG1の発見が液胞のポリリン酸の機能について新展開をもたらす可能性が期待される。
|
Research Products
(3 results)
-
[Journal Article] The Coiled-Coil Protein VIGI Is Essential for Tethering Vacuoles to Mitochondria during Vacuole Inheritance of Cyanidioschyzon merolae.2010
Author(s)
Fujiwara T, Kuroiwa H, Yagisawa F, Ohnuma M, Yoshida Y, Yoshida M, Nishida K, Misumi O, Watanabe S, Tanaka K, Kuroiwa T.
-
Journal Title
Peer Reviewed
-
-