2007 Fiscal Year Annual Research Report
液胞・リソソーム系におけるポリリン酸の代謝機能の解析
Project/Area Number |
07J11044
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
八木沢 芙美 Rikkyo University, 理学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | リソソーム / 液胞 / ポリリン酸 / Cyanidioschizon merolae |
Research Abstract |
液胞あるいはリソソームは、タンパク質分解などを担う重要なオルガネラである。下等真核生物の液胞にはリン酸の直鎖状に連なったポリリン酸が多量に蓄積していることが多く(Kulaev, et. al.2004)、哺乳類のリソソームもポリリン酸を合成する(Pisoni and Lindley,1992)。このため、液胞あるいはリソソームとポリリン酸の間には密接な関係が存在すると予測される。興味深いことに近年バクテリアの一種であるAgrobacterium tumefaciensにおいてポリリン酸を蓄積した液胞・リソソームに類似した構造が発見され(Seufferheld, et. al.2003)、起源的な液胞・リソソームがこのようなポリリン酸蓄積型であった可能性も考えられる。しかしながら、その普遍的な代謝機構は明らかではなく、その機能も未解明の部分が多い(Kulaev, et. al.2004)。そこで本研究では、液胞あるいはリソソームにおけるポリリン酸の代謝および機能を明らかにすることを目的とした。これまでに私は、原始紅藻Cyanidioschizon merolae(通称・シゾン)においてリソソーム様の構造を同定した。シゾンはそのゲノム情報や進化系統上の位置から、真核生物の基本的な性質や進化の解明に有用であると考えられている。今年度においては、シゾンのリソソーム様構造を分画遠心および密度勾配遠心により細胞から単離する方法を確立した。単離されたリソソーム様の構造はポリリン酸を保持しており、試験管内でのポリリン酸の合成や分解系の構築を可能とすると考えられる。また単離したリソソーム様構造を用いて、その構成タンパク質をTOF-MSにより多数同定した。これらの研究成果はより網羅的な構成タンパク質の同定を可能とし、これによりポリリン酸代謝に関わるタンパク質の候補を絞り込むことが出来ると考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] A 100%-complete sequence reveals unusually simple genomic features in the hot-spring red alga Cyanidioschyzon merolae.2007
Author(s)
Nozaki H, Takano H, Misumi O, Terasawa K, Matsuzaki M, Maruyama S, Nishida K, Yagisawa F, Yoshida Y, Fujiwara T, Takio S, Tamura K, Chung SJ, Nakamura S, Kuroiwa H, Tanaka K, Sato N, Kuroiwa T.
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Journal Title
BMC Biology 5
Pages: 28(onlineのみ)
Peer Reviewed
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