2007 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞の分化、TRAF6シグナルにおけるFLN29の役割
Project/Area Number |
07J11065
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
真田 貴人 Kyushu University, 生体防御医学研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | TLRシグナル / NF-kB / ウイルス感染 / インターフェロン / 負の制御 / RIG-I / TRAF6 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
我々は単球系M1細胞を用いてLPS(リポ多糖)+IFNγ interferon γ)で誘導される分子をマイクロアレイ解析で抽出し、新規分子FLN29を同定した。FLN29は低レベルではあるがユビキタスに発現していおり、さらにIFNγ、IFNβによって強く誘導される。FLN29の構造はN末端側のTRAF(TNF receptor-associated factor)-type-zinc fingerドメイン、分子中央付近のTANK-likeなアミノ酸配列とTRAF6結合モチーフからなる。マクロファージ様株化細胞(RAW264.7)を用いた解析からFLN29はTRAF6結合モチーフを介してTRAF6と結合し、TRAF6シグナルに対して抑制的に働くことが示された。したがって、FLN29はTLRシグナルの新たな負のフィードバック因子であると考えられた。今回、FLN29の生理的機能の解析をするためにFLN29欠損マウスを作製し解析を行った。マウスではFLN29を欠損したことによる明らかな形態的異常は認められなかった。TLRシグナルにおけるFLN29の生理的な役割を明らかにするためにFLN29欠損マウスの骨髄細胞より分化誘導して得た樹状細胞(BMDC)をリポ多糖LPSで刺激して炎症性サイトカインの産生を野生型と比較したところ、ELISA、RT-PCRにおいてTNF、IL-6の産生の上昇が若干みられた。次に繊維芽細胞(MEF)を用いてウイルス感染におけるFLN29の機能解析を行なった。MEFでは水泡性口内炎ウイルス(VSV)に感染によってFLN29の発現が誘導された。FLN29欠損マウス由来のMEFにVSVを感染させたところ、VSV感染に対して抵抗性を示した。RT-PCRにおいてI型インターフェロンとII型インターフェロンの産生が上昇し、VSV由来のRNA量は減少した。さらに、293T細胞を用いた実験からFLN29はRIG-IおよびIPS-1過剰発現によるIFNβプロモーターの活性化を抑制することが明らかになった。以上のことより、FLN29はTLR-TRAF6シグナルのみならずウイルス感染によるIPS-1-TRAF6シグナルにおいも抑制的に機能すると考えられる。なお上記の方法で作製したFLN29過剰発現RAW264.7細胞をRANKL存在下で破骨細胞へ分化誘導させて、破骨細胞の分化におけるFLN29の役割を検討したが、コントロールと比べて顕著な差はみられなかった。FLN29の破骨細胞分化への影響は限定的と考えられる。
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