2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J11155
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Research Institution | National Institute of Biomedical Innovation |
Principal Investigator |
丹野 順子 (土田 順子) National Institute of Biomedical Innovation, 霊長類医科学研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 加齢 / 認知 / 記憶容量 / サル / マカク |
Research Abstract |
本研究課題においては、認知的老化の脳内基盤を明らかとすることを目的として、(1)マカク属サルにおける空間記憶能力の加齢性変化の大規模調査と、(1)で良くも悪くも高齢群の平均から外れた高齢個体について(2)形態MRI・fMRI・pharmacological MRIの撮像を行い、その画像を高齢群内および非高齢群と比較することを計画し、平成20年度は、まず(1)を完了し(2)に入ることを目標に実験を行った。空間記憶能力を測定する課題として、空間記憶容量課題の1つである食物回収課題を用いた(Kubo,Kato&Nakamura,2006)。各試行で初めて誤アプローチ(すでに報酬を回収した穴に対するアプローチ)が生じるまでにサルが起こした正アプローチの数を成績の指標とし、実験開始時の年齢が20歳未満の非高齢個体38頭、高齢個体(20歳以上)23頭、計61頭についておのおの30試行分のデータを採取した。非高齢群・高齢群で成績を比較したところ有意差は見出せなかった。先行研究において、この課題を遂行する際にサルが自発的に独自の反応ルーを構築し、記憶能力を補完していることが示唆されている。各個体の方略についてさらに詳細な検討を行い、加齢によってどんな能力が失われるのかを明らかにする必要がある。さらに今年度は、fMRI実験の被験体を選択するためのスクリーニング(脳の器質的病変が課題成績に影響を与えている可能性を排除すること)を目的として、脳構造MRI撮像を実施した。本年度終わりまでに、それぞれの撮像条件を決定した上で、メス18頭についてT1-3D、T2、拡散テンソル、MRA画像の撮像が完了した。
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