2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J11155
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Research Institution | National Institute of Biomedical Innovation |
Principal Investigator |
丹野 順子 (土田 順子) National Institute of Biomedical Innovation, 霊長類医科学研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 加齢 / 認知 / 記憶容量 / サル / マカク |
Research Abstract |
本研究課題においては、認知的老化の脳内基盤を明らかとすることを目的として、(1)マカク属サルにおける空間記憶能力の加齢性変化の大規模調査と、(1)で良くも悪くも高齢群の平均から外れた高齢個体について(2)形態MRI・fMRI・pharmacological MRIの撮像を行い、その画像を高齢群内および非高齢群と比較することを計画し、計画初年度である平成19年度は、まず(1)の実験を完了することを目標に実験を行った。 空間記憶能力を測定する課題として、空間記憶容量課題の1つである食物回収課題を用いた。サルは9つある報酬穴のすべてから食物報酬を回収することを求められた。しかしテスト課題において報酬穴は、サルが指で支えていないと報酬穴を隠してしまうようデザインされた不透明なブタで覆われているため、サルが効率よく報酬を得るためには、試行中に自らがすでに報酬を回収した穴(あるいはまだ回収していない穴)がどの位置の穴かを記憶しなければならない。記憶している位置の数が、その個体の記憶容量の限界に達したとき、サルは誤アプローチ(EA:すでに報酬を回収した穴に対するアプローチ)をすると考えられる。この仮説に基づき、(1)その試行で初めてEAが生じるまでにサルが起こした正アプローチ(CA)の数、(2)1試行に9回生じるCAそれぞれの間にサルが起こしたEAの数を成績の指標とし、年度終わりまでに非高齢個体25頭、高齢個体11頭、計36頭についてデータを採取した。 現在までに解析を終えた個体の成績を、非高齢群・高齢群で比較したところ、(1)(2)いずれの成績指標についても有意差は見出せなかった。しかしこれは、解析がまだごく少数の個体でしか完了していないことや、いずれの群の個体でも、試行ごとの成績の変動が非常に大きいことが原因と考えている。次年度、さらにデータ数を増やし、また解析を進めることによって、当初の目標としていたサルの認知的老化の傾向が明確になると考えている。
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