2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J11172
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
曽 友深 Juntendo University, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | オートファジー / p62 / LC3 / Atg7 |
Research Abstract |
生体内で不要となったタンパク質や変性したタンパク質はユビキチン化され,タンパク質分解酵素複合体プロテアソームにより速やかに分解される.このユビキチン-プロテアソーム系の破綻に起因した変性タンパク質の蓄積が,パーキンソン病やハンチントン病などの神経変性疾患の発症に関与すると考えられてきた.一方,申請者の所属する研究室における細胞内バルクタンパク質分解経路オートファジーのマウス遺伝学的研究から,オートファジーの不全がユビキチン陽性封入体の形成を伴った肝障害,神経変性疾患を引き起こすことが明らかになった,すなわち,肝細胞や中枢神経系ニューロンにおける基底レベルのオートファジーによるタンパク質除去機構が極めて重要な役割を担っていることが判明した。しかしながら,ユビキチン化タンパク質の蓄積・凝集化、さらには病態発症に至るメカニズムは全くの不明であった。ごく最近,申請者らは,オートファゴソームに局在しその後リソソームにて分解される分子LC3(酵母Atg8のヒトホモログ)をベイトにプロテオーム解析を行った結果,LC3とユビキチン結合タンパク質p62との相互作用を確認した.さらに,p62のオートファジー依存的な分解及びオートファジー不能肝・脳におけるユビキチン化タンパク質と結合したp62の蓄積・凝集化を確認した.また,p62,Atg7およびp62/Atg7ダブルノックアウトマウス(DKO)を解析した結果,驚いたことにDKOマウスは,オートファジーのみ欠損させたときに起こる肝細胞,神経細胞内の封入体形成が劇減した.これらのことは,オートファジーよるユビキチン化タンパク質-p62会合体の選択的な分解阻害が病態発症に関与することを強く示唆する.今後は,高等動物におけるオートファジーの遺伝学的解析及びLC3やp62のプロテオーム解析から同定されたオートファゴソーム局在タンパク質群の生化学的・分子生物学的解析を行なうことにより,「オートファジーによる選択的な異常タンパク質分解機構」の解明を目指す.
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Research Products
(4 results)