2007 Fiscal Year Annual Research Report
統合的言語処理モデルに基づく外国語教育教授法の研究
Project/Area Number |
07J11189
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 慶 Tohoku University, 高等教育開発推進センター, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 人間の言語処理 / 作業記憶 / 統語論 / 心理言語学 / 心理物理実験 / fMRI / 機械学習 |
Research Abstract |
本研究では、人間の言語メカニズムの解明を通してそこで得られる知見を外国語教育に生かすことを目標としており、また、その研究手段としても、言語学、心理学、脳科学、計算機科学の学際的手法を採用している。本年は人間の言語処理メカニズムの解明に主に焦点をあてた。具体的には、文を理解する上で、文の意味が得られた場合、もしくは、文の処理時間の長さの影響によって、作業記憶中の言語情報が減衰(忘却)するのではないかという仮定の上に、まず英語母語話者を対象に文の自然さを測る心理物理実験を行った。その結果、英語においては語順が文の自然さに影響している結果が得られた(認知科学、および言語学の学会に発表応募中)。ここで得られた結果は人間の文処理の本質的な特徴であると考え、次に日本語において同様の実験を行った。その結果、英語に見られた効果と同様に、処理時間が文の自然さに影響を与える結果が得られた(言語処理学会第14回年次大会にて発表)。このことから、文を理解する上で、処理時間の影響により作業記憶中から依存関係などの言語情報が減衰しているという仮説を支持された。そして、文を理解するには作業記憶中からの情報抽出が必要となるが、文理解における情報抽出について特有な神経基盤が存在するかどうかについてfMRI実験を行い、現在も進行中である。 一方、言語学習面においては、脳活動の言語学習への応用を模索し、研究室内の他研究者の協力も得てfMRIデータの機械学習を試験的に行った。その結果、日本語母語話者と中国人学習者の分類が約90%の精度で可能であるという結果を得た(言語処理学会第14回年次大会ワークショップにて共著者として発表)。現在ではSVM(Support Vector Machine, Vapnik 1994など)といった、他の機械学習器を採用し、本研究の目的である、外国語学習への応用についても平行的に行っている。
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Research Products
(5 results)