2007 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞死抑制因子ADNFの受容体の同定および細胞死抑制機構の解析
Project/Area Number |
07J11218
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鈴木 宏昌 Keio University, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 神経科学 / 神経変性疾患 / 筋萎縮性側索硬化症 / 神経栄養因子 / ADNF / CaMKIV / 神経細胞死 |
Research Abstract |
ADNFは、家族性ALS原因遺伝子SOD1の変異体による運動神経細胞死を顕著に抑制する。本研究ではADNFのALS治療薬としての臨床応用を目指し、ADNFの神経細胞死抑制機構を解析した。これまでその細胞死抑制機構として恒常抑制変異体を用いた細胞死実験系からCaMKIVが含まれることを明らかにしている。さらにごく最近では、ADNF結合分子S1をノックダウンした運動神経細胞ではADNFが効果を示さなくなることから、S1がADNF効果発揮のための必須分子であることを明らかにした。 本年度は、ADNF-S1が導く細胞死抑制シグナルを詳細に解析するため、ADNFにより活性化される分子を用いたレポーターシステムを構築し、解析を行った。CaMKIVは上流キナーゼによるリン酸化によって活性化される。そこでADNFによるCaMKIVリン酸化レベルを抗リン酸化CaMKIV抗体を用いWestern blotにより検討した。リン酸化CaMKIVの検出を可能にするため、CaMKIV安定発現神経細胞株を樹立した。その結果、ADNF処理によりCaMKIVのリン酸化レベルが上昇することが明らかになった。さらにS1をノックダウンするとCaMKIVリン酸化レベルが上昇することが明らかとなった。すなわちADNFはCaMKIVを活性化し細胞死抑制効果を発揮し、S1はCaMKIVに対して抑制性に制御する分子と考えられる。CaMKIV恒常抑制変異体およびS1特異的siRNAを用いた細胞死実験の結果を合わせ考えると、ADNFにより、S1によるCaMKIV抑制が解除され、さらにそれと並列してS1依存性細胞保護経路が存在し、その経路が活性化され、神経細胞死抑制効果を発揮すると考えられる。
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Research Products
(3 results)