2007 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナ根端分裂組織における幹細胞維持機能の解析
Project/Area Number |
07J11231
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
宮島 俊介 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 高等植物 / 形態形成 / 幹細胞 / 根端分裂組織 |
Research Abstract |
高等植物の地下部組織である根は、すべて根端分裂組織に由来する細胞によって形成される。根端分裂組織内の幹細胞は、静止中心(Quiescent Center: QC)とよばれる分裂活性の低い細胞群に接して存在し、QCより基部側組織(中心柱、基本組織(皮層/内皮)、表皮)に細胞を供給する。本研究課題においては、シロイヌナズナの根端分裂組織における幹細胞の形成や維持に機能する因子を同定する事を目的とする。 (1)根端部の横断面の細胞パターンの異常を指標に変異体スクリーニング 根端部の横断面の細胞パターンの異常を指標に変異体スクリーニングを行った。通常、横断面細胞パターンは、中心柱組織が根の中心部に存在し、その周囲に基本組織と表皮が放射状に存在し、それら組織内では細胞が正確に同心円状に配置されている。スクリーニングの結果、細胞が同心円状に配置しない変異体(5gf32変異体)を単離し、その原因遺伝子がARGONAUTE1(ago1)であることを同定した。 (2)AGO1遺伝子とSCR遺伝学の遺伝学的解析 まず、既存の放射パターン形成変異体とのago1変異体の遺伝学的な関係を明らかにした。SCR遺伝子は内皮細胞形成に機能する。scr機能欠損型変異体では、野生型において皮層・内皮の2層からなる基本組織が、1層の細胞層となる。ago1機能欠損変異体は、内皮細胞層は形成しているが、同心円状に細胞が配置しない異常を示す。scr ago1二重変異体を作成したところ、基本組織様の細胞形態をもつ細胞層が観察されなくなった。つまり、SCR遺伝子とAGO1遺伝子は、根の幹細胞領域における放射パターン形成において、基本組織の形成を正に制御する鍵となる因子であると考えられる。 本研究の結果から、シロイヌナズナの根端分裂組織における幹細胞の正常配置のための分子基盤の一端を明らかに出来ると考えている。
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Research Products
(2 results)