2008 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナ根端分裂組織における幹細胞維持機能の解析
Project/Area Number |
07J11231
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
宮島 俊介 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | 形態形成 / 発生 |
Research Abstract |
維管束植物の根は、放射状に一定の組織パターンをもっており、幹細胞が存在する根端分裂組織(Root Meristem:RM)において、この放射パターンは形成される。この放射パターン形成の分子基盤は、これまでにほとんど明らかになっていない。本研究では、維管束植物のモデル生物であるシロイヌナズナを用いて、その分子基盤を明らかにすることを目的とした。本年度、本研究において、この正確な放射パターン形成に低分子RNAの一種であるMicroRNA(miRNA)による遺伝子発現制御の鍵制御因子であるARGONAUTE1(AGO1)遺伝子の機能が必須であることを明らかにした。agol変異体を用いた網羅的発現解析の結果から、miRNAの制御下にあり、実際に根の放射パターンに機能する遺伝子として、miR165/166ファミリーによって制御を受けるHD-zip型転写因子であるPHABULOSA(PHB)を同定した。PHB遺伝子は、miR165/166機能によって、その発現領域が根の中心部に存在する維管束組織に限定化され、またこの時、miR165をコードする遺伝子の一つであるMIR165A遺伝子は、PHB遺伝子の発現する維管束組織の外層に存在する内皮細胞層において発現していることを示した。さらに、MIR165Aの上流因子として、これまでに内皮形成に機能すると報告されていたSCR遺伝子が機能している事も同時に明らかにした。これら結果からと過去の内皮形成におけるGRAS型転写因子SHR/SCRの知見を合わせることで、低分子RNAとタンパク質の細胞間移行が介する組織間相互作用が、維管束植物における放射パターン形成における分子基盤の一旦を担っているという新規なモデルを示すことができた。
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Research Products
(2 results)