2007 Fiscal Year Annual Research Report
事象関連電位を指標とした言語要素間の関連付けに関する普遍的な言語処理モデルの構築
Project/Area Number |
07J11280
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安永 大地 Kyushu University, 人文科学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 言語学 / 心理言語学 / 日本語 / 文処理 / 文理解 / 事象関連電位 / 依存関係 / 数量詞 |
Research Abstract |
文の意味は、文に含まれる各語の意味の組み合わせによって成立する。そして、人間は入力される語と語の関係を高速で計算し、意味を組み合わせる操作を行っていると考えられる。本研究では、まず、人間が文の意味を理解するために必要な関係というのが文の主述関係と要素間の修飾関係のみであると提案した。そして、これらの関係を標示するための処理のことを「関連付け処理」と呼んだ。本研究では、関連付け処理がどのように展開されるのかという問題について取り組んだ。本年度は、ある言語要素が入力されてから、その要素にとって必要となる関連付け処理が完了するまでの間にどのような処理が必要となるかという問題についての考察を行った。その結果、ある言語要素が入力されると、(1)関連付け処理を開始し、(2)関連付けの相手となる要素が入力されるまである要素を保持し、(3)関連付けが行える状態になったら即座に2つの要素を関連付けるという3種類の過程を経て関連付け処理が終了するということが明らかになった。これまでに行われてきた研究では、人間が文処理を行う際に語と語の意味を組み合わせながら意味を理解しているという点については広く受け入れられてきていたが、どのような関係を構築するために語と語を組み合わせているのか、また、その詳細な過程がどうなっているのかについて具体的な議論が行われていなかった。本年度の研究は、前者の問題に対して具体的な提案を行い、後者の問題に対して、心理学的実験を用いて具体的な過程を明らかにしたという点において非常に重要な研究であるといえる。
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Research Products
(5 results)