2009 Fiscal Year Annual Research Report
事象関連電位を指標とした言語要素間の関連付けに関する普遍的な言語処理モデルの構築
Project/Area Number |
07J11280
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安永 大地 Kyushu University, 大学院・人文科学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 言語学 / 心理言語学 / 日本語 / 文処理 / 文理解 / 事象関連電位 / 連体関係 / 連用関係 |
Research Abstract |
人間が文の意味を理解するためには、文に含まれる各語が他の語とどのような関係になっているかを把握する必要がある。そして、人間は高速のうちにこの操作な行っている。本研究では、人間に備わった心的装置として、「文処理装置」を仮定し、人間が文の意味を理解できるようになるために、この装置がどのような働きをしているのかという問題に取り組んだ。 問題の解決にあたり、本研究では脳波の一種である事象関連電位(ERP)を指標とした心理学的実験を行った。実験の結果、以下のことが明らかになった。 まず、文処理装置が決定すべき「関係」というのは、連体関係と連用関係の2種類であり、これら2種類の関係を決定する時間的な過程は、平行的にとらえることができるということを明らかにした。文処理装置は、同一文中に含まれる複数の連体関係および連用関係を決定し、さらにそれを一つにまとめ上げる操作を行うことで、文の意味が理解できる状態にするわけである。このとき、連体関係と連用関係のそれぞれを決定する処理は、先読み的に行われていることを示した。さらに、連体関係と連用関係をまとめ上げる処理も先読み的に行われているということを明らかにした。 また、本研究では、連体関係および連用関係を決定する処理のことを「関連付け処理」と呼び、その処理の開始から完了までにどのような認知処理が含まれているのかという問題に取り組んだ。そして関連付け処理には、(1)関連付け処理を開始し、(2)関連付けの相手となる要素が入力されるまで要素を保持し、(3)関連付けが行える状態になったら即座に2つの要素を関連付けるという3種類の過程を経ているということを明らかにした。
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Research Products
(3 results)