2007 Fiscal Year Annual Research Report
不定比複合酸化物をベースとした固体電解質の高温電気化学特性とその工学的応用
Project/Area Number |
07J11286
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
奥山 勇治 Nagoya Institute of Technology, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 酸化物イオン伝導体 / 濃淡電池 / マグネシウム・アルミネートスピネル / 起電力 |
Research Abstract |
鋳鉄用Mgセンサーを開発することを目的として初年度は年次計画に従いマグネシウム・アルミネートスピネルを電解質として鋳鉄中のMg活量と、酸素ガスと電解質との平衡で決まるMgの活量によって生じる起電力の測定を行った。1773Kにて起電力測定を行った結果、Mgを投入前は400mVの起電力が観測された。鋳鉄にマグネシウムを投入直後、電池に生じた起電力は約20mV上昇した。しかしながら、鋳鉄に電解質であるマグネシウム・アルミネートスピネルを浸漬して1時間程度で起電力は著しく減少した。実験後の試料についてXRD測定を行った結果、電解質であるスピネルが鋳鉄と反応しており、その反応生成物によって起電力が著しく低下したことが考えられる。また、同実験と同時に安定化ジルコニアを用いた酸素センサーにて鋳鉄中の酸素分圧を測定した結果、マグネシウム投入前後で大きな変化は見られなかった。このことから、マグネシウムを投入した際に見られた起電力の応答は鋳鉄中のマグネシウム活量が変化したことに起因していると考えられる。 次にセンサーの標準極を検討するためマグネシウム・アルミネートスピネルを電解質としてFe-FeOの平衡酸素分圧と電解質の平衡で決まるMg活量と、酸素ガスと電解質との平衡で決まるMgの活量によって生じる起電力の測定を行った。1273-1473Kにて起電力測定をおこなった結果、安定した起電力が得られた。しかしながら、標準極のFe-FeOの平衡酸素分圧と測定極のガスの酸素分圧によって生ずる起電力より大きな起電力が生じた。実験後の試料においてXRD測定を行った結果、標準極にFe、FeO以外にスピネルとFeOとの反応物が生成しており、この反応性生物とFe-FeOの平衡によって決まる酸素分圧によって起電力が生じていると考えられる。 以上に示したように年次計画に従って実験を行ったが新たにスピネルと鋳鉄との反応などの問題点が明らかになった。鉄用の酸素センサーと同様にマグネシウムセンサーも短時間でセンシングを終了する消耗型センサーの形で用いる方向で開発を進める必要があることがわかった。
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