2007 Fiscal Year Annual Research Report
エストロゲンによる免疫制御作用と食品成分によるエストロゲン欠乏症の緩和
Project/Area Number |
07J11311
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中谷 真子 Kyushu University, 生体防御医学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | サイトカイン / エストロゲン / 肝炎 / SOCS / NKT / インターフェロンγ / ConA / 卵巣 |
Research Abstract |
自己免疫疾患の1種である関節炎リウマチはエストロゲン欠乏の女性に多く発症することから、生体内のエストロゲンレベルが関与することが示唆される。これまでの研究で、エストロゲン欠乏状態で一過的にエストロゲン刺激すると免疫が活性化されるが、エストロゲンが常に維持されていれば免疫は抑制されているため、エストロゲン様食品成分の摂取により補足することで関節炎リウマチの発症の予防や、症状の緩和が期待できる。そこで本研究では、更年期女性に多く見られる自己免疫性肝炎について、劇症肝炎モデルのConA(concanabalinA)肝炎を用いて女性ホルモンの1種であるエストロゲンと肝炎の関係について検討を行った。C57BL/6系メスマウスにエストロゲンを4日間腹腔内投与し、ConAを静脈から投与して肝炎を誘導した。その結果、エストロゲンの投与量依存的に肝炎の指標となるALT(alanine aminotransferase)値が減少することが明らかとなった。エストロゲンが肝炎を緩和することが示されたことより、更年期女性のモデルである卵巣切除マウスではConA肝炎が悪化するのではないかと考え、卵巣切除マウスにConA肝炎を誘導した。その結果、卵巣切除マウスではALT値が偽手術マウスに比べて高く、肝炎の悪化が認められた。これらの結果から、生体内でのエストロゲンレベルが肝炎の発症に深く関与していることが示唆された。今後、エストロゲン欠乏による肝炎の悪化がエストロゲンの投与により軽減されるかどうかについて検討する予定である。また、ConA肝炎の悪化には、T細胞やNKT細胞などの免疫細胞によって産生される炎症性サイトカインinterferon(IFN)-γレベルが上昇していると考えられるが、エストロゲン投与による肝炎の緩和作用においては、IFN-γのレベルに変化は無く、エストロゲンは肝細胞のアポトーシスの抑制などに寄与している可能性が示された。 その他の研究として、サイトカインシグナルの抑制因子であるSOCSl欠損マウスを用いてConA肝炎の実験を行なった。肝臓でSOCSlを欠損させると肝炎が悪化しSOCSlを強制発現させると軽症になることを見いだした。
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Research Products
(2 results)