2008 Fiscal Year Annual Research Report
非発光電子遷移検出を用いた量子構造半導体材料の高感度評価技術の開発
Project/Area Number |
07J11325
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
王 萍 University of Miyazaki, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 多層薄膜半導体 / 非破壊評価 / 非発光電子遷移課程 / 圧電素子光熱分光法 / フォノン放出 |
Research Abstract |
本研究課題は、従来の光学的手法が測定してこなかった非発光電子遷移過程に着目し、それを高感度で検出することで、多層超薄膜半導体各層の光吸収スペクトルを非破壊かつ高感度に測定する手法を開発することを目標とした。所属する研究室で新規開発・発展させてきた圧電素子光熱分光(PPTS)法では照射光の断続周波数変化によって発生した熱の拡散長を変化させて深さ方向の情報が得られるが、その分解能は数百ミクロン程度が限界であった。ステップスキャン機能付きフーリエ変換型分光系(FTIR)の導入で様々な問題が解決され、深さ方向分解能が格段に向上できると期待される。今年度の研究実施状況を以下にまとめる。 1.回折格子型分光器を用いたPPTSでの評価については、GaAs基板上に成長させたGaAs/AlAs量子井構造材料を対象として各層からの信号分離を試みた結果、量子井戸層内部の高次サブバンドに光励起されたキャリアが低次サブバンドに緩和する際(フォノン放出サブバンド間緩和)のL0フォノン放出を初めて直接検出することに成功した。フォノン放出によるPPT信号は低温になるほどその強度が増加し、フォノン放出サブバンド間緩和過程が低温での光学遷移において非常に重要なプロセスであることを実験的に確かめた。 2.フーリエ変換型(FTIR)分光器を用いたPPTSではいくつかの問題点が明らかになった。市販FTIR装置では、可動鏡を固定して光変調を行うステップスキャン時の変化周波数が離散的な値に固定されているため、意図した膜の信号を得るのが困難である。スキャン深さ位置を決める熱拡散長は断続周波数と試料物性値に依存するため、任意の周波数に設定できるよう改訂が必須となる。これは今後の課題となる。
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Research Products
(5 results)