2007 Fiscal Year Annual Research Report
イントロンの起源と進化:リボソームタンパク質遺伝子を介した拡散機構の提唱
Project/Area Number |
07J11335
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
吉浜 麻生 University of Miyazaki, フロンティア科学実験総合センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | イントロン / 進化 / スプライシング / 機能性RNA / ゲノム / リポソームタンパク質 / RPGデーターベース / 真核生物 |
Research Abstract |
私は、イントロンは機能性RNAのキャリアとしての役割を担っていると考え、生物は進化の過程でイントロンの獲得と消失を介してRNAによる生命システムの制御機構を発達させてきたと推測している。これを明らかにするために、以下の研究を行なった。 1 データベースの充実化 本研究ではリボソームタンパク質(RP)遺伝子を主なデータセットとして用いる。RP遺伝子はすべての生物が持っており、約80種と数が多く、保存性が高いため、イントロンの位置を詳細に比較できるという利点がある。現在までに11,000遺伝子の情報をRP遺伝子データベース(RPG)に収めた。 2 ゲノムワイドでかつ、多種類の生物のイントロンの挿入と欠失の推測(論文1) 22種の真核生物の約3500カ所のイントロンについて、進化の過程におけるイントロンの獲得と消失のパターンを最尤法により推測した。これまでにない、ゲノムワイドでかつ多種類の生物のデータを用いたことにより、植物と菌類/後生動物が分岐する前の祖先生物(15億年前)には既に多くのイントロンがあったことが示唆された。また、イントロンの獲得と消失の頻度は、15億年前から10億年前までが高かったと推定された。10億年前は真核生物のビッグバンが起こったと提唱されている時期である。これらのことから、イントロンの獲得と消失が生物の種分化に影響した可能性があると考えている。 3 下等な真核生物のイントロンの挿入と欠失の推測(論文2) 9種のアルベオラータのイントロンの獲得と消失のパターンを最尤法により推測した。これにより、真核生物の進化の過程にておいて比較的早い時期に分岐した下等な生物においても、祖先生物にはイントロンが多数存在し、現在までに獲得と消失が活発に起きていることが推測された。
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Research Products
(4 results)