2009 Fiscal Year Annual Research Report
免疫寛容誘導の分子機構の解明と免疫疾患におけるその原因解明及び治療法への応用
Project/Area Number |
07J11430
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
瀧本 智仁 Kyushu University, 生体防御医学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヘルパーT細胞 / 転写因子 / シグナル / 炎症 / TGFβ / 自己免疫疾患 / STAT / サイトカイン |
Research Abstract |
TGF-βシグナルはT細胞を始めとする様々な細胞においてSmad familyと呼ばれる分子群とそれ以外の分子群を介したものとに大別され、前者はSmad2或いはSmad3がSmad4と複合体を形成して核内にシグナルを伝達する。我々はT細胞特異的Smad2欠損(Smad2cKO)マウスを作製し、更にこれを用いて、Smad2/3-double KO(DKO)マウスを作製した。DKOマウスは生後一ヶ月以内に死亡した。これは主に肝臓における重篤な炎症のためであり、in vivoでもSmad2/3が重複して炎症抑制に寄与することが示された。in vitroにおいてSmad2或いはSmad3単独欠損T細胞は、TGF-b存在下においてFoxp3(制御性T細胞の分化制御因子)陽性のiTregの誘導が減弱し、両欠損T細胞では完全に消失した。したがってTGFβによるFoxp3の誘導はSmad2/3が重複して必須であることを示している。次にFoxp3の誘導がTGFβの免疫抑制機能に必須かどうかを調べるためにscurfyマウスを用いた。このマウスは機能的なFoxp3を欠損している。ScurfyマウスにTGFβを連日投与したところ致死的な炎症が抑制された。血中の炎症性サイトカインの濃度もTGFβ投与によって低下した。また試験管内でもTGFβはFoxp3が存在しなくてもThl分化を抑制し得た。すなわちTGFβはFoxp3に依存しないメカニズムで炎症や炎症性サイトカインの産生を抑制しうることが示された。
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Research Products
(1 results)