2008 Fiscal Year Annual Research Report
免疫寛容誘導の分子機構の解明と免疫疾患におけるその原因解明及び治療法への応用
Project/Area Number |
07J11430
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
瀧本 智仁 Kyushu University, 生体防御医学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヘルパーT細胞 / 転写因子 / シグナル / 炎症 / TGFβ / 自己免疫疾患 / STAT / サイトカイン |
Research Abstract |
TGF-bシグナルはT細胞を始めとする様々な細胞においてSmad familyと呼ばれる分子群とそれ以外の分子群を介したものとに大別され、前者はSmad2或いはSmad3がSmad4と複合体を形成して核内にシグナルを伝達する。我々はT細胞特異的Smad2欠損(Smad2cKO)マウスを作製し、更にこれを用いて、Smad2/3-double KO(DKO)マウスを作製した。in vitroにおいてSmad2或いはSmad3単独欠損T細胞は、TGF-b存在下においてFoxp3(制御性T細胞の分化制御因子)陽性のiTregの誘導が減弱し、両欠損T細胞では完全に消失した。一方、Th17に関しては、その分化制御因子であるRORgtの誘導は、mRNAレベルでは何れのSmad欠損T細胞においても野生型と同等であった。しかし、蛋白レベル、すなわちIL-17産生細胞はSmad欠損細胞で著しい分化障害を認めた。このTh17分化における相克する知見は、Smad欠損細胞においてIFNgやIL-4等のTh17分化に抑制的に作用するTh1/Th2サイトカイン産生が上昇することに由来することを見出した。又、以前よりTGF-bはTh1やTh2といった他のエフェクターT細胞分化を抑制することが報告されているが、この現象もSmad2、Smad3の単独欠損T細胞では部分的に障害され、両欠損T細胞では完全に認められなかった。しかも、炎症性サイトカインの抑制性転写因子でもあるFoxp3欠損マウスを用いることで、従来の考えと異なり、その誘導はTGF-bを介したTh1/2分化抑制に必須ではなく、Smadの直接的転写制御が重要であることを細胞、個体レベルで見出した。以上より、我々はTGF-bシグナルがiTregとTh17の誘導においてそれぞれSmad依存性と非依存性のメカニズムを介すること、Smad2とSmad3が重複性の機能を有し、相補的であることを初めて明らかにした。
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Research Products
(2 results)