2007 Fiscal Year Annual Research Report
強誘電体絶縁層を有する有機電界効果トランジスタの開発と強誘電体メモリーへの応用
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07J11584
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
酒井 平祐 Japan Advanced Institute of Science and Technology, マテリアルサイエンス研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有機トランジスタ / 有機絶縁膜 / 閾値電圧 / 有機メモリー |
Research Abstract |
本年度は、絶縁膜の分極がトランジスタ特性に及ぼす影響を明らかにし、その研究報告として"Organic fieldeffect transistors「with dipole-polarized polymer gatedielectrics for control of threshold voltage"という題で国際誌であるApplied Physics Letter誌(vol91,133502(2007))に投稿することができた。この知見により、絶縁膜の分極を積極的に制御することでトランジスタ特性を示す1つの指標である閾値電圧を制御できるという指針を示すことができた。本研究では、絶縁膜からのトランジスタ特性の制御を用いたメモリーを作成することが目標であるため、この論文は重要な位置づけとなる論文である。 現在の進捗状況は、これらの有機トランジスタの絶縁膜において分極に関する知見をより一層発展させ本研究の目的である有機電界効果トランジスタの型メモリーへの応用を展開している。具体的には、絶縁膜に空間電荷分極を生じさせ、この分極を制御することが有機トランジスタから出力される電流値の制御につながることを見いだした。この結果において出力される電流値の制御が可能であることが示されたため、有機電界効果トランジスタの型メモリーへの応用にむけた大きな一歩となる結果である。この内容は、平成19年度日本化学会北陸地区講演会(発表題目:エレクトロケミカルドーピングを用いた有機電界効果トランジスタ)と第55回応用物理学関連連合講演会(発表題目:空間電荷分極を用いた有機電界効果トランジスタ閾値電圧のコントロール)にて報告した。特に第55回応用物理学関連連合講演会における発表では、学会参加者の反応も良く、多数の質問を受け盛んな議論がなされた。このことからも、本研究における成果は有機エレクトロニクスの分野において非常に興味を持たれる内容である。
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