2008 Fiscal Year Annual Research Report
中国語新語における日中同形語の研究-同形異義語にみる日中言語文化の違いを中心に-
Project/Area Number |
07J11592
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
赤平 恵里 Keio University, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 新語 / 外来語 / 中国語 / 日本語 / 日中同形語 / 語誌 / 人気 / 対照言語学 |
Research Abstract |
今年度は、近年増えている日本語から中国語に入ったと考えられている新語の分析を主に行った。具体的には、"人気(人気)"といった中国語の中にもともと存在していた概念にもかかわらず、近年新たに中国語の中に取り入れられた語に注目し、その導入経路や新語としての誕生背景を検討し、日中の言語文化の差異を考察した。 導入経路を検討するにあたり、今年度はこれまでの『人民日報』に加え、経済紙などの特定分野の新聞や地方紙、台湾の各紙を資料とした。これにより、研究対象である中国語のみの考察にとどまらない日本・台湾・中国の語彙の対照研究を行うことができた。また、分析の難しさから先行研究では曖昧なままであった日本語から中国語に入ったと考えられている語の外来語としての根拠も明確にし、外来語の北上現象に加え、現在増加している日本語語彙の中国語化の実態を浮き彫りにすることができた。その成果は藝文学会研究発表会(2008年6月20日)にて「中国語新語"人气"の定着をめぐって」というテーマで発表した。 このほか、新語研究には、一語一語を対象とした研究ばかりでなく、他の時期の新語との比較を通して現在の中国語新語の特徴を明らかにしていく研究も必要であるため、近年の新語の学説史整理にも取り組んだ。学説史の流れをつかむうえでは、特に最近多く出版され始めた専著を中心にすえ、中国以外の国での新語研究の発展にも貢献できるよう日本語の新語研究の実態とも比較しながら考察し、『藝文研究』第96号において「中国語学における新語研究の現在」としてまとめた。
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Research Products
(2 results)