2007 Fiscal Year Annual Research Report
中国語新語における日中同形語の研究-同形異義語にみる日中言語文化の違いを中心に-
Project/Area Number |
07J11592
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
赤平 恵里 Keio University, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 中国語 / 日本語 / 新語 / 日中同形語 / 老齢 / 高齢 / 老齢化社会 / 高齢化社会 |
Research Abstract |
今年度は、これまでに収集し、体系的に考察してきた改革開放後の中国語新語の中から、もともと日本語と同義であったが、近年差異のでてきた同形語に注目し、各語の具体的な分析に重点を置いた。これまでは"新干?(新幹線)"といった日本特有の事物に関する語彙を研究対象としていたが、視点を変え、"老?(老齢)"といった日中共通の概念の語彙を扱い、その日本語との語義・用法の違いから中国の言語文化を考察した。 新語の研究とはいっても、語の変化は長い年月の積み重ねの上に起きるものである。したがって、研究にあたっては、最近一時期だけではなく、長期間にわたる検証が必要となる。そこで、長期的な語義変遷をみるのに有用な新聞を資料とし、なかでも語の使用に保守的な新聞『人民日報』を用い、多年度にわたる使用例の調査を行った。そして、その『人民日報』における語の出現時期・使用数や用法の変化から、語の誕生・定着、さらには定着の要因までを追った。その結果、例えば"老?(老齢)"においては中国の「一人っ子政策」がその誕生・普及に関与しており、中国の政治政策が中国語新語に大きな影響を与えていることが明らかになった。"老化(老化)""高?(高齢)"という既存の類義語との比較、語を構成する"老"という字のもつイメージの日中比較も行い、日中の文化的差異を追究した。 以上により、中国語新語に関わる新たな言語現象を明らかにし、これまで概観的であった新語における日中同形語研究をさらに補うことができた。
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Research Products
(1 results)