2008 Fiscal Year Annual Research Report
ラビリンチュラにおける新奇DHA含有リン脂質の合成経路の解明とその応用
Project/Area Number |
07J11656
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安部 英理子 Kyushu University, 農学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ラビリンチュラ / DHA含有リン脂質 / アシルトランスフェラーゼ |
Research Abstract |
本年度はラビリンチュラにおけるDHA含有リン脂質の合成に関わると推定されるアシルトランスフェラーゼ(LPATf26)についてより詳細な解析を行った。本酵素はラビリンチュラにおけるDHA含有リン脂質の代謝経路を明らかにする上で、特に重要であると考えられるキーエンザイムの1つである。 ラビリンチュラより獲得したLPATF26(681アミノ酸残基)について、出芽酵母Saccharomyces cervisiaeによる発現系の構築を行った。活性の測定にはRI標識化合物を用いる系で行った。基質特異性の解析の結果、アシル供与体であるアシルCoAはDHAを始めとする不飽和脂肪酸に対して働いていることが明らかとなった。またさらにアシル受容体について解析を行ったところ、lyso-PC,lyso-PAに特異性を示すことが明らかとなった。またラビリンチュラに含まれるアシルCoAの分子種についてガスクロマトグラフィーで解析したところ、DHA-CoAが最も多く含まれていることが明らかとなった。以上の結果は、獲得した本酵素がラビリンチュラにおいて、DHA含有リン脂質の合成に関わる酵素であることを強く示唆するものであった。 またLPATf26におけるアシルトランスフェラーゼモチーフのアミノ酸点変異体を作成した。その結果、C523A変異株において活性の上昇が確認され、本酵素の活性において523番目のCys残基が何らかの役割を果たしていることが示唆された。 本研究成果はDHA含有リン脂質の合成経路の解明において非常に重要な発見であると考えられる。今後、ラビリンチュラを用いたノックアウト株や過剰発現株の作製により本酵素のより詳細な機能が明らかにされると考えている。
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