2007 Fiscal Year Annual Research Report
1910-20年代ヨーロッパ前衛芸術とモードの交流:ソニア・ドローネーの服飾芸術
Project/Area Number |
07J11771
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
朝倉 三枝 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 特別研究員DC2
|
Keywords | ソニア・ドローネー / ポール・ポワレ / ヨーロッパ前衛芸術 / アール・デコ / ファッション / 西洋服飾史 |
Research Abstract |
本年度は、テーマの拡充を図り、ソニア・ドローネーと同時代にパリのモード界で活躍した服飾デザイナーのポール・ポワレに関する研究にも着手した。2007年5月20日に開催された服飾文化学会大会では、1925年にパリで開催されたアール・デコ展でポワレが行った展示について口頭発表を行い、これまで主にモード界での仕事が評価されてきたこのデザイナーが、20世紀初頭の装飾芸術振興運動にも貢献していたことを指摘した。また、パリ市立ガリエラ美術館で開催された「狂乱の時代1919-29年」展(2007年10月17日〜2008年2月28日迄)図録に、アール・デコ展におけるドローネーとポワレに関する論考を2本発表した。その中で、同博覧会におけるふたりの展示を、モードと芸術という二つの観点から読み解き、画家、あるいは服飾デザイナーという肩書きに収まらない彼らの特異な位置付けについて検証した。10月のパリ出張では、フランス前衛映画研究の衣装と装飾の研究で知られるミレイユ・ボーリウ氏と会見し、ドローネーが1926年に参加した2本の映画に関する資料や、前衛映画研究の現状についての意見交換を行った。また、パリ出張では、ドローネー・コレクションを有すフランス国立図書館およびポンピドゥー・センターで資料調査も実施した。これらの調査に基づき、ドローネーが1924年のサロン・ドートンヌに出展したブティックと、1927年に販売した既製服「ティッシュ・パトロン(型紙-布)」に関する論考を完成させた。そして、これまでの研究成果を「ソニア・ドローネーの服飾芸術-1910-20年代ヨーロッパ前衛芸術とモードの交流」と題する博士論文にまとめ提出し、2008年3月に博士の学位(人文科学)を取得した。
|
Research Products
(4 results)